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「素人の作る型程無意味なものは無い。そうは思わないかい?」
「……あぁ、そうだな。拳銃の方は使わないのか?」
「え? 遠距離攻撃なんていう卑怯なこと、僕がする訳ないじゃないか。馬鹿の極みだね。病院に連れてってあげようか?」
馴染によるその言葉を後に、エレンはもう私語は終わりだといわんばかりに何かの機械を取り出した。恐らくはそれが、エレンの変身アイテムであろう。
形状としては、持ち運びやすさを優先させたのか、スマートフォンの様な形状をしており、エレンはそれを特撮ヒーローが変身する際にとるようなポーズで構える。
馴染の奇妙な変身アイテムであるペンダントとは違う、なんとも正義の味方に相応しいものであると、馴染は思った。
「…………変し……!!」
「エレンちゃん」
そんなエレンの変身を、馴染は遮った。エレンの変身には『待機』という言葉は必要無いらしく、最初から『変身』という言葉であったのであろうが、馴染に名前を呼ばれ、エレンは変身を中断した。
そもそも馴染の『待機』は、変身する前にどの部位だけを装備するか選択する為に設けられたもので、他のヒーロースーツの変身には『待機』なんて言葉無いのだろう。
変身を待ってくれる悪役が出て来る物語なんて、五色のヒーローと、魔法少女の敵キャラだけなのだから、無駄な行程を付けないのが普通だろう。
ましてや相手は未確認生物『エイリアン』。どんな攻撃をしてくるかも分からない相手に対し、いちいちながったたしく変身なんてしていられないだろう。
「負けを認めるなら今の内だぜ?」
「……何を」
言っているんだ。そう言おうとしたエレンの口は、強制的に閉じさせられることとなった。
「まあ、答え何て聞く気はさらさらないんだけどね」
そう言った馴染の手に、先程まで握っていた筈の刀の姿は何処にもなかった。
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