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馴染の持っていた筈だった二本の刀。自発的にいなくなる筈の無いこれらの行き先は、エレンの脇腹、左腿。完全に貫通し、エレンは痛みで、強制的に口を閉じさせられたのだ。
「僕、投げやりと水泳だけは得意なんだよね。今思えば、体育でクラス順位二位をとったことなんて、それらだけだったよ」
馴染は、エレンが変身を中断し、自身の問いに答えようとした瞬間に二本の刀を何の前触れも無く常人では考えられない投げ方(馴染にとっては投げやりの要領)で投げ、平行に飛んで行った二本の刀は、エレンの体に風穴を空けたのである。
「てめえ……遠距離攻撃は卑怯とか言って無かったか?」
「気が変わったのさ。それにそれは、最高の褒め言葉だと僕は思うよ」
エレンの、刺された痛みのせいで辛うじて声を出しているといった感じの発言に対し、馴染は笑いを絶やすことなくそう言って、今度は拳銃に手を掛けた。
「僕に出会ってしまった時から、君の人生はバットエンドって決まってたんだぜ」
「クッ!」
「初勝利の相手は正義の味方。アハハッ! 皮肉だねぇ。ヒーローになりに来たのにヒーローを殺すなんて」
そう言った馴染の手に収まった拳銃の銃口が、エレンへと向けられる。その場に一色がいるにも関わらず、それを静止するような声は聞こえてこない。
エレンは正義の味方らしく、この絶望的な状況下に置かれても起き上がろうとしている。
やれやれ、つくづくヒーローに向いてる人材だなぁ、僕の一京倍位。
そんなことを考えながら、馴染は拳銃の引き金に手を掛け、笑いを絶やすことなく、引き金を……。
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