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「……なーんてね」
馴染はそう言いった後に、小声で『変身解除』と呟いた。すると、馴染の手にあった拳銃と腰に付いた鞘。そして、エレンに突き刺さった刀がデータを消去されたように消えて行った。
「っ……!!」
刀が消えた事によって、エレンの脇腹と左腿から出る出血が酷くなり始めた。流石に痛みの余り声を出してしまったエレン。そしてそれに気付いた女生徒は慌てだした。
「エレン君!」
そして馴染は悠々と近づいて行き、エレンの前に立つ。そして先程までは馴染の立ち位置から女生徒の顔が良く見えず、名前を描写されることは無かったのだが、その女生徒が先程馴染に手を突っ込まれた伊都であることを、馴染は知った。
……ふーん。僕の読みが正しければ、エレンちゃんは結構私情に走ってしまうかもね。
絶対正義が勝利する物語でなら登場して良いかもしれないけど、この物語ではどうなるのかな?
馴染は、止血を始めた伊都を外に、エレンへと話し掛けた。
「女の子を盾にするとかヒーローにあるまじき行為だね」
無論、まともな言葉のキャッチボールなんて出来そうにない、棘は無いのに厭味ったらしい発言であるのだが。
「……あぁ、情けねえ」
しかしエレンは、馴染の発言を素直に受け止めた。心底悔しそうに、自分をやった張本人でる馴染に、そう言った。
馴染はその言葉を聞いて、ニヤリと笑った。
「君は格好悪く生き残って、エイリアンへの復讐をやり遂げなよ」
その言葉を聞いたエレンは、一瞬驚いたような素振りを見せ、その後弱々しいながらもニヤリと笑って返した。
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