第3章 訓練=死亡フラグ

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 四月四日。模擬試合後馴染がとった行動は、一色に宛がわれた自室へ帰ることだった。一応、自室へ帰る前に誰もいない教室へ作りかけのヒーローミニチュアを取りに行きもしたが、教室には一分もいなかった。  その際、模擬試合を行った場所にも来なかったシアロ・エマ・リリーラストの姿が無かった事に疑問を覚えた馴染であったが、ヒーローミニチュアを早く完成させたいという気持ちがあった為、特に気にしなかった。  馴染は、まだ見慣れない自室に戻ってすぐ机に向かい、作業を始めた。  形には最早完成の色がみえており、それが完成すれば馴染は次に塗装へと入るだろう。本来塗装が必要ないことであっても、馴染が未完成であることを許す訳も無く、絶対塗装するのである。  そして、約三十分という時間が経過すると、粘土を全て使い切り、ヒーローミニチュアの形が完成し、馴染は塗装する為の道具を探すようにキョロキョロと辺りを見回した。  パソコン、テレビ、ベット、机……部屋内に置いてある見慣れない家具や電化製品は視界に入るが、自身の塗装に使う道具は見つからない。一色は、自分の私物は全てこの施設に運ばせたと言っていた。馴染はその事を覚えていたし、自分の私物は自室に置かれているものだと思っていた。  その為、見つからないという現実に疑問符を浮かべるしかなかった。  ピーン……ポーン。  そんな馴染の耳に、インターフォンの鳴る音が聞こえて来た。
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