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あの子はいつも一人で泣いていた。
そう、誰も寄り付かない旧演劇部の部室で彼はいつも身を縮めていたのだ。
転校生でクラスに馴染めなかった私は、ゆう君とあの教室にいることが多かった。
転校にまだ慣れず、人見知りだった私にはゆう君は心の救いでもあった。
再び転校が決まった時、私は誰にも告げずにその日を迎えた。
ゆう君にさえも……
ゆう君とは約束していた、「明日もこの教室に来るよ」って。
そして10月31日は彼の誕生日でもあった。
約束を……私は守らなかった。
転校してまもなくだ。
彼が亡くなったと聞いたのは。
病気で亡くなったと聞いたが、詳しいことは聞かされなかった。
彼は今も私を恨んでいるのだろうか?
私はふと悲しさを覚えた。
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