魚の話

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「おいお前、こんな話を知ってるかい?」 ウワサ話をこしらえた村人が突如言い出す。 「とても綺麗な娘が魚(さかな)を欲しがるんだ・・・。 その娘の望みに叶わない魚を与えると ・・・・・神隠しに遭う。」 神隠し、と聞き、一喝するお侍が一人。 「莫迦々々(ばかばか)しい!!」 そう言い放つと、お侍は腰を上げた。 「そんなものは、 只の酔狂な殺人だろうに!」 お侍はそう言って、その話を笑い飛ばしてしまった。 「ったく・・。」 「興の削がれる奴だな」 と辺りからは文句が浴びせられるが、 気にも留めずお侍は村の外へ歩いて行った。 「あー、莫迦らしい話だよ。まったく・・・。」 お侍は気だるく隣にある村へと歩いていた際、 先程の村で聞いた話を思い出していた。 「怖がらせるにしても、 もう少し現実味のある作り話はできぬものか・・・」 と呟いたその時、 道の真ん中に綺麗な娘が泣いているのを見つけた。
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