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まだ若い頃に冬山に登って仲間とはぐれたんです。
山頂近くで吹雪いてきましてね。
そのうち日も暮れてしまって、
登るに登れない、戻るに戻れない。
という状況になってしまい、
私は仕方なく簡易テントを張って一人で※「ビバーク」したんです。
※簡単に言えば、防寒対策して休むこと。
一向に吹雪は治まらなくて、
もう駄目かもしれないと意識が朦朧(もうろう)としてきた時にですね、
誰かの声が聞こえてきたんです・・・。
助かったぁぁ。
っと思ったけれど、体が動かない。
近付いてくる声の人が見つけてくれるだろうと、そのまま動かずに待ってたんです。
ところがそのうちに、
なんか・・・変だぞ・・。
という気がしてきたんですよ。
仮に、救助隊や仲間なら
おーい!!とか
●●ー!!って救助する人を呼びながらきますよね?
でも・・・
近付いてくる声は、
何かをぶつぶつと言っているだけなんです。
そういえば・・・
あんな小さい声がどうして吹雪の中聞こえてきたんだ!?
それに気付いてからはパニックですよ。
さっきまで
こっちに来てくれ。こっちに来てくれ!
と思っていたのが、
今度は
来ないでくれ来ないでくれ!
って必死に念じていたんですけど、
まっすぐこちらに近づいてくる・・。
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