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その日を境に
毎晩宴会を続けていた徳利の拾い主。
だが、ある日・・・。
「それじゃ、また明日ね。」
拾い主は友人達に手を振り見送ると、家の中へ入った。
「それじゃ、私はいつもどおり呑みなおしますか♪」
拾い主は床に座り、徳利を振る。
「あれ?
・・・出ない。」
突然の出来事に驚き、
徳利を覗き込む。
「嘘っ!
これって制限ありだったの!?」
どれだけ振ってもお酒の出なくなった徳利を床に置き、酔っていたこともあり
棚の真下の壁によろよろとぶつかり、そのまま壁にもたれて眠りに入った。
その時、
ガタッ・・・。
と、拾い主の家の戸が開いた。
その隙間からは
・・・鈍く光る刃物が見えていた・・・。
・・・・翌日。
「事故なの?」
拾い主であった友人の内の一人が、
拾い主の葬儀の際にポツリと呟いた。
「酔っ払って棚にぶつかった拍子に上にあった鉈(なた)が落ちたみたいよ。」
その友人の言葉を聞き、家の中を見渡す。
1箇所だけ棚が崩れ、
そばには棚に載っていたであろう工具等がまとめて置いてあるのを発見した。
噂話の絶えぬまま葬儀は終わった。
拾い主の友人達は、終わった後も無言で座っていた。
「ほらほら、
こんな暗いのはあいつ(拾い主)はきっと望んでいないわよ?」
一人が立ち上がり、他の友人達に言う。
「そうだ、ここにはいい物があるんだから・・・
振ればいくらでも酒が湧いてくる徳利(とっくり)!!
これでも呑んで、明るくあいつを送り出してやりましょう?」
友人達は互いに目配せし、頷き合い、
そうねっ。
と気持ちを切り替え、徳利から出るお酒を飲むのであった。
しかし、
その日を境に村では不可解な事故が起き始めた。
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