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「くそっ!あの女…私に恥をかかせやがって…!!」
来賓が全て帰った後、片付け作業をするメイド達の目を憚らずに苛立ちをテーブルにぶつける父。
蹴られたテーブルだが、思いの外硬くて自らの足先を押さえてピョンピョンと跳ねていた。
プッ
メイドの一人がその滑稽な様子を見て思わず噴き出した。
「……何を笑っている!!」
腹いせでメイドを必要以上に叱りつける父。
メイドは何度も謝罪しながら頭を下げていた。
父は確かに優秀な人物で、社交性にも長けていたが、巨大コングロマリットの長としての器で考えると、小さ過ぎた。
執事やメイドに陰口を叩かれる事も日常的だ。
いくら滑稽だったとは云え、主人たる者の所行をメイドが笑うなどと云う事は有り得ない。
この事から、父が如何なる評価を得ているのか安易に想像できるたろう。
しかし、それはあくまでも現ロックフォード財団の長たるリリスの父、それを陰にて牛耳っている妻リリスに比べれば、だが。
父は優秀な人物だが少し足りぬ。
そう云った所だろうか。
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