あの時の二人

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自分のお部屋の様子を視ている御母様。 私は眠い事などすっかり忘れてドキドキしながら御母様にお願いした。 リリム「御母様!静が!御父様に殺されちゃう!早く助けに行って!!」 御母様は視ながらそれに答えた。 リリス「……いや、それには及ばないようだ。『来ている』みたいだし、何よりも私が行ったら彼を殺してしまいそうだ…」 しがみつこうと伸ばした腕を引っ込める私。 御母様は今まで見た事が無い位に怒っていて、歯を食いしばり、グッと握った拳から血を流していた。 リリム「お、御母様…」 不意に殺気を急激に鎮める御母様。 リリス「いや、すまないリリム…『娘が怯えている』と叱られてしまった。」 血を拭い、私の頭を優しく撫でる御母様。 リリス「静が一人で向かったのには理由がある。彼に君を殺させない為。私に彼を殺させない為。ジャバウォックに彼を殺させない為…静は君や私、そして君の父を助ける為に一人で向かったのだ。」 リリム「それは解りますが、静はまだ子供です!!」 声を荒げる私だが、御母様は全く動揺していない素振りで、私に優しく言い聞かせる。
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