あの時の二人

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「…北嶋?あの北嶋の娘か!?」 赤く火照った顔が一気に冷めた。 リリム「北嶋の伯父様を何故御父様が知っているの!?」 そればかりでは無い。 顔が一気に黒ずんで見えて、何よりも声が御父様の声じゃない。 女の声だ!! 静「乗っ取られちゃったかぁ…意外と早…え~?もう?…仕方無いなぁ…これ死んじゃわないよね?」 静が独り言をブツブツ言いながら印を結んだ。 いや、厳密に言うと独り言では無いが… 「ち…いくらあの北嶋の娘と云えど、まだ小さな子供…この場で殺せば!!」 御父様が胸を突き出して咆哮すると、黒い人魂のような物がポツポツと現れる。 リリス「なんだあの下等な魔物は?あんな物しか喚び出せぬ程度の輩がこの私を殺そうと企んだのか?」 呆れながら溜め息を付き、更に続けた。 リリス「それに引き換え、流石は最強と慈愛の娘だ。『加護』の力を借りたとは云え、あの上級の術を扱うとは…」 苦笑いまでしてみせる御母様。 私にも解る… 静の霊力が 徐々に高まっていく事が… 元々持っていた霊力を上乗せさせている… そんな感じだった。
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