あの時の二人

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結局静が目覚めたのは、日にちが変わりそうな時間だった。 私は静が起きるまで寝ないで待つつもりだったが、御母様や尚美伯母様に叱られて仕方無く就寝する事にした。 私の部屋で私が寝入るまで一緒に居てくれた御母様が深ぁく溜め息をつき、頼むから一過性の物であってくれ、と、ブツブツ言っていた。 そして更に翌朝、目覚めてみんなが居る御母様のプライベートルームに行くと、静が朝っぱらからご飯をモリモリ食べていた。 リリム「シー!もう大丈夫なの?すんごい心配したんだからっっっ!!」 嬉しくなって、思わず抱き締めると、尚美伯母様と御母様が、やはり…と呟いたのが聞こえた。 静「大丈夫大丈夫!お腹いっぱいご飯食べれば問題無し!って、シーって?」 クロワッサンを持ちながらキョトンとするシー。 リリム「え?何かそう呼びたくなったから。」 何故か解らないが、他の友達よりも親しみを込めて名前を呼んだらこうなった。 静「ふーん…まぁいいや。」 シーは解ったような、解らないような表情をして再びクロワッサンを口に入れた。 その食べている姿を、私はテーブルに肘を付け、手のひらで顎を押さえて火照った頬と何とも言えない幸せな気持ちになりながら眺めていた…
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