ここは『出る』らしい

29/30

29175人が本棚に入れています
本棚に追加
/240ページ
―――リリムは集中して話をし始めたな。 ―――友里亜ちゃんもどす。流石は静…『同期』のトップを張るだけはありますな… ピリピリしながらジャバウォックさんと会話するウチ。 当然ながら気付かないジャバウォックさんではない。 ―――お前の領域に魔の物が来たのがそんなに気に入らないか? 呆れて首を捻る。 ―――えろうすんませんなぁ…勇の家ならリラックスできるでしょうが、これはウチの性分どすから。 如何に敵意が無い、絶対味方とは云え、魔の物を迎える事は慣れていない。 警戒の気を発してしまうのは仕方ない事… ―――まぁ良い。護るべき領域ならば致し方無い事だろうからな。所でお前もこの家から出て北嶋の裏山に集合だそうだ。 目を丸くし、ジャバウォックさんを見る。 ―――本気で静達だけでやらせようと云うんどすか勇は… ―――北嶋は本当ならば請ける気も誰かに渡す気も無かったようだが、命令らしいからな。如何に北嶋でも『奴』の命令には逆らえん。 勇に命令できる御人が居る訳が無い……… と、記憶がいきなり脳裏に現れたように、ウチはハッとした。 ―――次の高みに導こうと? ―――さあな。俺は直接面識が無いから解らない。俺は伝えろと言われた事を伝えただけだ。 成る程成る程… 漸く静達も次に進める訳どすか… 嬉しくなり、顔が綻ぶ。 この依頼、ウチの介入が無ければ、完全に力量不足による敗北確定の依頼だと思ったが、あの御人が糸を引いているのなら全て納得出来る。
/240ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29175人が本棚に入れています
本棚に追加