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―――リリムは集中して話をし始めたな。
―――友里亜ちゃんもどす。流石は静…『同期』のトップを張るだけはありますな…
ピリピリしながらジャバウォックさんと会話するウチ。
当然ながら気付かないジャバウォックさんではない。
―――お前の領域に魔の物が来たのがそんなに気に入らないか?
呆れて首を捻る。
―――えろうすんませんなぁ…勇の家ならリラックスできるでしょうが、これはウチの性分どすから。
如何に敵意が無い、絶対味方とは云え、魔の物を迎える事は慣れていない。
警戒の気を発してしまうのは仕方ない事…
―――まぁ良い。護るべき領域ならば致し方無い事だろうからな。所でお前もこの家から出て北嶋の裏山に集合だそうだ。
目を丸くし、ジャバウォックさんを見る。
―――本気で静達だけでやらせようと云うんどすか勇は…
―――北嶋は本当ならば請ける気も誰かに渡す気も無かったようだが、命令らしいからな。如何に北嶋でも『奴』の命令には逆らえん。
勇に命令できる御人が居る訳が無い………
と、記憶がいきなり脳裏に現れたように、ウチはハッとした。
―――次の高みに導こうと?
―――さあな。俺は直接面識が無いから解らない。俺は伝えろと言われた事を伝えただけだ。
成る程成る程…
漸く静達も次に進める訳どすか…
嬉しくなり、顔が綻ぶ。
この依頼、ウチの介入が無ければ、完全に力量不足による敗北確定の依頼だと思ったが、あの御人が糸を引いているのなら全て納得出来る。
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