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廃墟にテールランプを向ける事ができた。
ブレーキを踏むと、赤い明かりが廃墟に反射する。
サッ
柏木「…今、今何か横切ったか?」
この鉱山跡地は、『出る』と有名な場所だった。
何も無いこの田舎町では、それなりに『遊べる』場所だ。
所謂心霊スポット巡りでだが。
柏木も先に運転免許を取得した友人に連れられて来た事もある。
その時は特に何も感じなかった。
心霊スポットと言っても、ただの廃墟だ。
期待していた分裏切られたような気持ちになったものだ。
その時は、勝手に期待して勝手に裏切られたと、随分身勝手だな、と笑いながら帰った。
柏木「今日は…期待しちゃっていいんじゃね?」
霊感が無い筈の自分が、幽霊を見る事ができる…
怖さと喜びが入り交じった、おかしな感覚を覚えながら、バックミラーを凝視する。
壁に反射した赤い明かりをじっと見る…
まばたきも我慢して、暫く見る…
柏木「…ち、やっぱりなんもねーか。」
諦めてバックミラーから目を離し、正面を向いた。
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