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―――この神気…バステトが裏山に来たか。
家の庭にて灰色狼や八咫烏と共に神気を感じ、裏山方向を見る。
―――飛竜が無事に使いを果たしたようじゃのぅ…
―――どれ、ならば妾達も行こうか。
ゆっくりと腰を上げる妾に対して灰色狼は伏せた儘微動だにしない。
―――どうした?おんしゃは行かんのか?
―――キョウのあのザマを見るのは流石に忍びない。
顔を反らして耳を伏せる灰色狼。
まぁ、流石に仕えている者がガチガチに拘束されている状態を見るのは辛い物がある。
やったのは勇だが。
―――貴様も辛かろうが、これは貴様が仕えているもう一人の女が決めた事。何なら女に頼んで拘束を解いて貰うが良いぞ?
―――ソフィアが切り札を発動させたらな。あの切り札はキョウには捌き切れぬ。
切り札?
鬼神使いが抗えぬ技をあの女が持っていると云う事か?
―――そがぁな凄いモンなら一度見てみたいのぅ…
―――妾も興味があるぞ。女に乞うて見せて貰おうぞ。
―――単なる紙切れだ。
紙切れ…札?
あの女、いつの間に札など使えるようになったのだ?
更に興味を覚えた妾と八咫烏は、互いに顔を見せ合い、ワクワクしながら裏山へ高速で向かった。
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