邂逅

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友里亜が意識を集中すると、佐久間さんの現状が私にも流れてくる。 リリムの方も同様にだ。 私はみんなが霊視した物を、それを介して視る事ができる。 云うなれば、友里亜とリリムがテレビカメラとアンテナの役割をして、視聴者である私が二画面同時視聴をしている状態だ。 これは『同期』の中でも私だけが可能な特技。 特技?うーん……特技でいいや。 いずれ皆もできるだろうが、今の所私だけができるから特技って事にしとこう。 友里亜の視界…佐久間さんが自分の部屋かな?で、もの凄い隈を作って睡魔と戦っているように、コックリしてはハッとして起き、コックリしてはハッとして起き、を繰り返している。 それにしても… 友里亜「うわ!きったない部屋…」 確かに佐久間さんの部屋は飲みかけのペットボトルがテーブルの上にズラーッと並べられ、食べかけのお弁当やパンが放置されている。 間違い無くゴキブリ多発地帯となっている部屋だ。 リリムの方は… ピンクピンクの部屋だけど、ガラスが割れ、テレビなんかひっくり返して画面を見れなくしているばかりが、パソコンも何かで殴ったように破壊されている。 ベッドで体育座りしてブツブツ言っているし。 リリム「出るんだろうな。テレビやパソコンから。または壁や窓からも、な。」 割れたガラスはガラス越しから東雲を見たのか、物を投げつけて割ったようだし、間違い無さそうだ。
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