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行けない冥穴には東雲も居ないだろう。
来た道を戻ると、横穴よりは明るい廊下へと戻った。
居ない…居ない…
段々苛々してきた私。
只でさえ気に入らない相手だってのに、こうも見事に存在を消しているとは、一体何様よ?
あ、この自己中加減はパパからの遺伝って事で。
気を取り直して再び施設内を徘徊する。
居ない…居ない…
気付かれたか?いや、恐らく霊視開始時に既にバレている。
霊能者が来たと思って姿を眩ましたんだ、きっと。
だけど無理やり霊視したんだ。
無理やり納得してくれた二人にも申し訳無い。
静「あああ~!出て来い東雲ぇ!お前マジ気に入らないんだよっ!!」
どうせバレているんだ。偵察もへったくれもあるかっての!!
私は施設内で喚き散らしながら徘徊した。
静「出て来いってば!」
出て来ない。
静「東雲!姿見せろ!」
出て来ない。
静「調子乗んなよ東雲!」
出て来ない。
静「この北嶋 静にビビって出て来れないのか腰抜けぇ!!」
叫んだ途端、いきなり空気が重くなった!
暗い廊下が更に暗くなる!
その暗い中、長い髪を振り乱し、瞳だけギョロつかせた痩せこけた男が存在を露わにした!
出て来たー!
ちょっと嬉しくなった私!!
そんな私に東雲は、ギョロリと瞳を向ける!
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