あの時の二人

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それに対して色々質問してくる子達を、どう説明していいか解らなかった私は、はぁ、とか、うん、とか、曖昧な返事しかできなかった。 やがて質問から嫌味に変わり、嫌味から悪口、悪口から罵声に変わった。 それをただ俯いて受けるのみの私に、表立って嫌がらせをしてくるようになった。 初めは上履きを隠される程度だったが、机の中にゴミを入れられたり、カバンの中の教科書を破かれたり、ノート一面に死ねとか学校に来るなとか書かれたりするようになった。 乱暴な子なんかは故意にボールをぶつけてきたり、目立たない所、お腹を殴ったりもしてきた。 放課後の掃除の時間なんかは私一人にやらせるのが当然となっていた。 辛かった。 父ちゃんや母ちゃんには心配を掛けたくないと云う幼いながらも精一杯気を使って、イジメの事は一切言わずに、ただ笑っていた。 ロゥなんかは薄々気付いていたようだが、人間を手にかける訳にはいかぬと、ただ耐えていた。 ロゥが耐えるなら私も耐える。 悲しくて悔しくても、誰にも何も言わなかった。 ただ、笑ってごまかしていた。 ところで、他もそうだったが、ウチも正月には水谷総本山で行われている新年会に参加していた。 新年会には世界各国の有名な霊能者が参加しており、当然ながらそれに連れられて子供達も集まっていた。
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