北嶋静の心霊事件簿～北嶋を呪う者～

ここは『出る』らしい

めっきり夜が冷え込む季節に突入。

我が『北嶋心霊探偵事務所一号支店』で初めて迎える秋だ。

立ち上げたばかりの事務所。

勿論、自力でお客が来る事は無い。

パパや水谷本部から戴くお仕事でギリギリ賄っている状態だ。

水谷本部は梓おば様は優しいから、そこそこ依頼料をくれるけど、パパなんか依頼料の40パーセントも持って行くもんだから、本気の本気で『北嶋の依頼』は請けたく無い…

イギリスの下請け会社のカインさんなんか、昔は何回も何回も何回も何回も何回も直訴するだけの為、パパの所を訪ねて、漸く15パーセントに持っていったとか聞いた。

まぁ、今はパパの下請けをやらなくても良い程名前が売れているから、羨まし、いや、良かったねー。凄いねー。と、言いたい。

事務所に改装した一室でパパの文句をブツブツ言うのが私の最近のマイブームになりつつある。

そんな訳で、今日も事務所で40パーセント酷い40パーセント酷いと呪文のように呟いている私なのだ。