あの時の二人

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胸の服をギュッと掴み、唇を噛みながら俯き、震える… 成る程、勇気出してって意味はこの事か。 葛西「どうした友里亜?腹でも痛ぇのか?」 父ちゃんが優しく頭を撫でてくれる。 北嶋「おーい。今からこの部屋は葛西家が貸切だ。お前等出て行けー。」 そう言って一番先に部屋から出るおじちゃんと静。 静は去り際にウィンクをして笑った。 大人達は何が何だか解らないながらも、空気を読んだか、おじちゃんの後に続く。 子供達もそれに倣い、部屋から出て行った。 子供達にあてがわれた広い部屋に父ちゃんと私の二人… ポロポロ零れる涙とカタカタ震える身体を父ちゃんはすんごく心配してくれている。 子供の心配するのは当たり前 伝えたい事はちゃんとおっきい声で話さないと解らない 静の言葉がぐるぐると頭を回る。 葛西「どうしたんだよ友里亜…?」 父ちゃんが段々と不安そうな顔になる。 私がはっきり言わないから、そんな顔になってる… 私は勇気を振り絞って、イジメの事を父ちゃんに話した………
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