あの時の二人

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私の8歳の誕生日… 窮屈で煩わしい誕生パーティーがロックフォードのお屋敷で執り行われた。 いつもは絶対に着ないフリフリの服を着て、愛想を振り撒く為だけに執り行わる誕生パーティー…… 御母様はやりたくないのなら無理する事は無い、と、私の心情を優先させてくれたが、いつも御父様が強引に執り行う。 なんか政財界の人達を呼ぶ口実に使っているらしい。 虚栄心を満足させる為だろう。 御父様はロックフォードに出入りしていた青年実業家だったが、御母様の美しさに心を奪われて求婚をしたそうだ。 仕事の腕は一流で、御爺様は快く応じたそうだが、御母様は全く乗り気では無かった。 あんまりしつこいから仕方なく結婚してやった、らしい。 黒い虚栄心が視えた為、ロックフォードの全権は御母様が仕切ると云う条件の下にだ。 リリス「まぁ、『彼』と比較する事自体が間違いなんだがね。」と、笑いながら話してくれた事がある。 その『彼』は今どうしているの?と聞いた所、御母様の親友と結ばれたと答えてくれた。 御母様はその事を話した時、嬉しそうだった。 親友に好きな人を取られて笑っている御母様を少し不思議に思ったものだ。
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