あの時の二人

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おじさんおばさん、はたまたじいさん連中に愛想笑いをするだけの人形として存在するパーティー… リリム「……つまらないなぁ…」 退屈で退屈で死にそうだ。 ジャバウォックと遊んでいた方が勉強になるし、何より楽しい。 コッソリパーティーを抜けて遊びに行こうか? 御父様も御爺様もあまり煩くは言わないだろう。 二人共、御母様を怖がっている節があり、その御母様は私の好きにするといいと言ってくれたのだから。 仏頂面でそんな事を考えていると 「もう少しだから辛抱してくれないかリリム…」 と、御父様が困ったお顔で苦笑いしてお願いしてきた。 リリム「だって…退屈なんだもの…御父様だって年寄り連中の相手をするよりも、一緒にご旅行に行っている若い秘書とバーで呑んでいた方が楽しいでしょう?」 途端に真っ青になる御父様。 「ま、まぁ…とにかく、もう少しだけ我慢しておくれリリム…」 あわてて私から離れて行く。 …知らないとでも思っていたのか。 御母様も既に存じ上げていると云うのに。 …だから男は嫌いだ。 一番身近な男が、こんな様だから男になんか期待はできないと、幼いながらも悟っていた。
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