あの時の二人

34/55
前へ
/240ページ
次へ
広い、いや、広過ぎるお庭を一緒に歩く。 散歩と云うには歩き過ぎの感があり、ちょっと肩で息をする。 リリス「ああ、疲れたかい?もう直ぐだよ。」 屋敷にはゲストハウスが沢山あるが、御母様が目指したのは、趣味の部屋として使っている建物。 御母様が大切な友人のみを招く、御母様のプライベートハウスだ。 一般の家を遥かに凌駕するプライベートハウスに到着すると、フリフリの服を脱ぎ捨てていつもの動きやすい服に着替えるように促される。 言われる儘に着替えてホールに出ると、大きめなケーキと沢山の友達がわーっと笑いながら出迎えてくれた。 リリム「え?な、なんで此処に?」 キョトンとして友達を見渡す私。 御母様の友達の霊能者が、子供達を連れてプライベートハウスに来ていたのだ。 沢山の友達とは、御母様の友達の子供達の事… そのうちの一人が笑いながら包装した箱を持って私に近寄ってくる。 私も魔力にはそこそこ自信があるが、この子には勝てる自信が無かった。 大きめな瞳をキラキラ輝かせて、箱を私に手渡す。 静「誕生日おめでとうリリム!」 その子の名前は北嶋 静… 『同門』と呼ばれる私達の中でも飛び抜けて高い霊力を持った女の子だ。
/240ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29180人が本棚に入れています
本棚に追加