2人が本棚に入れています
本棚に追加
余りに不安そうな彼の声にUMEmuraは卵から目をそらして尋ねた。その声はある感情がこもっていた。彼等の状況を知るものではないと理解しがたいものだった。
「ねぇ、○KAWAを見たの?」
その言葉を聞いて頷いた彼を見たとき、UMEmuraは愕然とした。MATSUOもその表情を見て深く俯いた。
「で、でも、まだ遠いでしょ?そうなら、…平気よ!まだ心配しなくても、すぐに移動を始めれば○KAWAに捕まらずに行けるはずだわ。さぁ、あなた、卵を動かすのを手伝って!」
MATSUOには、彼女が自分を励まそうとしているねは分かっていた。しかし、事実は更に厳しいものだったのだ。だが、気丈に振る舞う姿を見ると現実を伝えることは、とても残酷な事に思えたのだ。MATSUOは静かに出口に向かって歩き出した。捕まるのは、この自分だけでいい。そうすれば、UMEmuraは助かるのだ。
外へ近ずくにつれて、温度が下がる。冷たい風が顔に当たり、気持ちいい。すっかり別の顔に塗り替えられた空は、全くの別世界だった。そうする内に外へたどり着いた。外にはやはり…○KAWAがいた。
急ぎ卵を持ち出したいUMEmuraは、一生懸命になり、MATSUOの事など意識して無かった。
「なぁ、MATSUO?ちょっともう一つ卵を持っていてくれないか?2人一緒のほう…が…MATSUO!?」
最初のコメントを投稿しよう!