3/3
前へ
/389ページ
次へ
座り込んだ私の手の甲に落ちる雫は少し温かい                   これは涙? それとも雨?                   分からない。 でもきっと雨だわ…だって私は泣いてなんかいないもの。 視界がボヤけるのは雨が頭を伝って顔に流れてるからよ 嗚咽するのはシャックリのせいよ                                     背中がドンドン濡れていく 服にじわじわと雨が染み込んでいく たくさんの人が急な雨に降られて慌てて散っていく                   ほら、やっぱり雨だ                                                       「浅田さん!?こんな所で貴女は何してるんですか!!」                   その声がして私の背中に雨が当たらなくなった                   この声は羽山課長だ                   よりにもよって課長に見られるなんて… そういえば、ここって課長のマンションの近くだったわ                                     「とりあえず俺の家に来てください!こんな雨の中に居たら風邪を引いてしまいます!」                  
/389ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4344人が本棚に入れています
本棚に追加