4343人が本棚に入れています
本棚に追加
/389ページ
先週まで暖かかったのに今週に入って一気に気温は下がり、すっかり冬本番だ
「…寒い」
仕事帰りに呟いた言葉と一緒に出た白い息
もう街はクリスマス一色
「ホント、急に寒くなったね。晩御飯お鍋にしようか」
「……そうだな」
「お鍋イヤ?グラタンとかにする?」
「そうじゃないよ。ただ、こんなに自然と晩御飯の話しが出来るようになったんだな、って思ったんだ」
「フフ…幸人さんってば、先週も同じこと言ってたよ?」
恵美が俺の横で笑ってくれるようになってもう2年
「…恵美」
「ん?なに?」
「そろそろさ、結婚…しようか」
「……え?」
恵美がピタリと足を止めた
「イヤ?」
「イヤ…じゃない、けど」
「けど?」
「本当に私でいいの?私なんかより、もっといい人居るよ?」
「恵美でいいんじゃない、恵美がいいんだ」
「でも!」
「でもでもうるさい。明日婚姻届取ってくるから納得できたらサインして俺に返してくれ。期限はクリスマスまでだからな」
「…うん……分かった…」
「じゃぁスーパーで材料買って帰ろ」
トボトボ歩く恵美の手を引いてスーパーへの道のりを急いだ
最初のコメントを投稿しよう!