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「あと3時間・・」」
梨紗は1人呟いた。
今は4限の音楽の時間。
窓際の1番後ろ。
この時間だけは余計なことは何も気にぜず、ゆっくりと頭を落ち着かせられる時間だった。
「じゃあ…平山さん、この曲を弾いてくれるかしら?」
「はい。」
教師に指名され、私はピアノの前に座る。
小さい頃からピアノを習っていたせいか、伴奏は毎回私だった。
「はぁ…いつ聞いても梨紗のピアノ綺麗だよねぇ…。」
「あれだけ美人で頭も良くてピアノも弾けるなんて…あーあ、羨ましい。」
ピアノは嫌いじゃないけど、だからと言って好きでもなかった。
母がやった方がいいと言ったから始めて、誰もやめろと言わないから続けている。
ただ、それだけだった。
それでも、ピアノを弾いてるときだけはいつもと違って何も考えずにいられた。
私の唯一の落ち着く術でもあった。
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