プロローグ

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2年前・春香の地元 春香「なに・・・これ。」 春香は帰宅途中だったのか、紺色のセーラー服を身にまとい、学校指定のハンドバッグをトスッと落としながら、商店街だった場所に広がる惨劇を目の当たりにしていた。 「キャァァァァァ!!」 「た、助けてくれー!」 燃え盛る炎の中、蜘蛛の子散らすように逃げ惑う市民の人達に、ゴキブリ型の怪物「ダークローチ」や蟻型の超越生命体「アントロード」が唸るような声で襲いかかり、グチャグチャと汚い音をたてながら襲った市民の肉や臓腑を食い漁っていた。 春香「やだ・・・なんで?なんでこんな事になってるのよ!」 燃え盛る炎・・市民の襲われる際に発する悲鳴と近くのCDショップから流れるデスメタルが違和感なく調和する混沌の現実・・春香は多重のショックにめまいを感じ、さっきまで食べていたショートケーキを嘔吐してしまった。 「!!」 と、一体のダークローチ(これ以降はローチと省略)が春香の存在に気づくと、持ってた生首をトマトのように握りつぶし、奇声をあげながらのらりくらりと春香に近寄ってきた。 春香「ひっ!」 春香は二~三歩後ずさりをして辺りを見渡すと、どら猫や小学生くらいしか知らない地元特有の抜け道を発見し、転がっていた石をローチに投げつけながら抜け道にむけて走り出した。 春香「はぁ、はぁ、はぁ」 春香はこんな時に限ってつまづかない事を神に感謝しながら、人がやっと通れるくらいの裏道をひたすら走り抜け、一件の廃工場にたどり着いた。 工場内はスバナやジャッキなどが散乱してあり、ここが自動車の大型修理工場だったのがわかった。 春香「私の携帯は・・バッグの中かぁ。」 春香はローチの視界から完全に振り切ったのを確認すると、両親の安否を確認すべく、携帯で連絡をとろうとしたが、バッグの中に全部入れておいたのを思い出し、深くため息をついた。 だがその時、天井から複数のアントロードが現れ、引っ掻くように腕を突き出しながら、春香を端へと追いやった。 春香「きゃぁぁ!こ、来ないで!」 春香は近くにあった娯楽用の木製バットを持ち、ブンブン振りましながら抵抗したが、アントロード達の一体にバットを掴まれ、バキリと根元をへし折られてしまった
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