第1幕 幕末の京へ

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向かったといっても、私が向かったのは…… ――明治2年5月11日。 私はいつも仕事では、その仕事の軸になる人達が亡くなるのを見てから仕事に行くことにしていた。 それで今回は新選組の人達。 だって、その方がその時代に行っても、情が移らなくて済むと思わない? 単純な理由だよね。 あ、あの馬に乗ってるのが土方歳三さんっていうんだよね? 写真で見た通り、そのまんまだね。当たり前だけど。 ってかココ、何気危ないんだよね。 少し遠くから双眼鏡で見ているとはいえ、ごくまれに下手な鉄砲の弾が飛んでくる。 当たりはしないけど。 にしても、上手く避けてるなー。土方さん。 見ていた草むらから、顔を出す。 誰も気づかないだろうけどね。 ……と思ったら目標の土方さんと目があった。 戦いの怒濤のなか、声は聞こえなかったけど、口は何て動いているのかわかった。 "おまえは…" 確かに土方さんの口は、そう動いていた。 というか、土方さん私のことを誰かと間違えているの!?そんな呆けていたら弾が………。 ――その刹那。 ドサッ ……土方さんは撃たれて馬上から落ちた。 史実は、コレで正しいんだけど…ね。 ま、歴史を変えなかったからいっか。 ……まさか私を知っていた訳ではないよね? だって、私はまだ「幕末にいた」という過去を存在させてないし……。 ……これ以上考えても仕方ない、か。 次の新選組の人は…。 沖田総司さんのとこに行ってみよう。
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