序章,裏切り者

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「僕の所、来る?」 「……え?」 この人の居場所? それば――…、どこ? 「長州藩邸だよ」 「お前……っ!」 「敵対する理由なんてあるのかな。 だって君、捨てられたんでしょ?」 ん?と聞いて来る彼を、睨みつける。 だけど、何も言えなかった。 ――それが、事実だから。 「ほら、おいでよ。 これから君には、女として生きてもらう事になるけど」 「……!」 刀は持たせない、ということ? 私には刀しか無いのに? 「だってその紅い髪、勿体ないじゃない。 せっかくだから、結って過ごしなよ」 「この髪は――、嫌い。 大嫌い」 「それでも、綺麗だよ。 きっと、君が嫌いだと思えば思う程、綺麗になる」 悲しい、哀しい、辛い。 交わるのは、後悔と戸惑(トマドイ)と憎悪と絶望と。 私はこの日、誓った。 ――もう、壬生狼には戻らない。 それが私の信念。
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