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壬生浪士組は好きだ。
だけどもう、駄目だから。
私には、やり直す勇気も力も無い。
「雪、行くよ」
この声に、どこまでも魅せられて。
なんては思わないけれど、この声が導く方向に私は進む。
総てを捨てた、女として。
「分かった」
彼は私の主人。
狼から成り下がった私は、ただの犬。
どうせ何の取り柄も無い犬ならせめて、忠誠を誓おう。
あの時、近藤さんにしたように。
「名前は?」
「稔磨。 吉田稔磨だよ」
「吉田、稔磨……」
「ん?」
「私はあなたに、忠誠を誓います。 私の命はあなたのもの」
膝をついて、深く頭を下げた。
「やめなよ」
「いえ、私の主人はあなたただ一人です」
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