小岩井昇馬とライジングサン

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次の日から、心を入れ替えた昇馬によるライジングサンの調教が始まった。 コクオウ号で負けたことにより、ただでさえ少なかった昇馬の騎乗機会はより少なくなった。 しかし、その分ライジングサンの調教が出来るので、昇馬は全く気にしていなかった。 ひたむきに調教を続ける昇馬。 その様子を見守っていた辻と中岡も思わず目を細めた。 (昇馬のやつ、わかってくれたんだな…) 中岡は昇馬の変化が我が子の事の様に嬉しかった。 そして、何より驚くのはライジングサンの調教タイムだ。 以前とは比べものにならない。 折り合いがついた時のこの馬の力はこれほどのものか…。 (これならもしかしたら…) 辻の中で期待は高まっていった。 そして時間は流れ、ついにレース当日。 「お前…その頭は、どうした?」 レース前、昇馬の髪を見た辻は驚きの声を上げた。 競馬学校卒業後に生意気に伸ばしていた茶髪を、バッサリ切った坊主頭になっていたからだ。 「先生、俺は今日ライジングサンで負けたら騎手を引退します」 「え…?」 「俺とサンは一心同体なんです。サンは今日負けたら引退。俺も同じ気持ちです。俺達は崖っぷちコンビです」 「昇馬…」 昇馬の熱い決意に、辻は思わず言葉を失った。
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