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「ライジングサンと言う牡馬だ。父親はサンライズベガス、母親はアケボノライジングという血統でかなりの良血なのだが気性の問題かいまだに未勝利なんだ。なんて言うか…お前に似てる感じもするしな。どうだ?」
「……」
俺に似てるってどういう意味だ?昇馬は考えた。
…どうせ自分に似て騎手の言うことを全く聞かない暴れ馬なのだろう。
両親は確かに有名な逃げ馬だ。
だが子供は悪い言い方をすれば駄馬らしい。
昇馬は渋々頷き、
「分かりました、先生。…本当は金の卵よりは金の方が良いですがね」
「ハッハッハ、それはお前次第だよ」
毒づく昇馬に、そう言って笑いながら辻は去って行った。
そして後日。
昇馬はライジングサンと出会った。
太陽に照らされて真っ赤に燃えているように見える雄大な馬体はまさに良血馬の証だ。
そして何より強い目の光。
本当にこれが未勝利の馬なのか…昇馬は思わず見とれてしまった。
ライジングサンとの出会いが自分を変え、そして自分がライジングサンを変えられるのか…それは全て昇馬次第だ。
この暴れ馬を力ずくで押さえ付けてやる!昇馬はそう心に誓った。
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