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町役場には、何組も
婚姻届けを出しにくるカップルがいて
同じ窓口で離婚届けをだすのが申し訳なかった。
折角の門出なのにと、気が引けた。
少し人が引けるまで待ったのを覚えている。
小さな町…。
出せばすぐに、どこの家のどこの部落のとわかってしまう。
義父母や義祖母にも肩身のせまい思いをさせてしまう。
本家だから、余計に。
まだ、小さい歩けもしない子供を抱いて…
それでも、まだ…
どこかで、あと少し我慢すれば、変わってくれるかもしれない。
そんな気持ちもあった。
でも…
恐怖に耐えられる自信もなかった。
ダメ!動かなきゃダメ!
そう言い聞かせて、届けを出した。
受理。
やっと地獄から解放される!
その時本当にそう思った。
あとの恐怖が起こるなんて予測もしてなかった…
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