ｄｖという鎖

引き金

ここかな？
国道を渡って、宮田の交差点にきた。
看板が一軒。

ここだ。スナック純

一呼吸して、ドアをあける
｢今晩は！図々しく来ちゃいました(笑)｣

｢かの～、こっち｣

店には所長と加藤くんと恭ちゃんの三人。
それとママだけ。

｢まぁ、いらっしゃい。こちらが和田さんのお嫁さん？かわいらしいわね｣

さすが客商売(笑)でも、いい人そうなママ。

｢所長も加藤くんも、お久し振りです｣

私は座って、お茶をもらった。

｢飲まないの？｣と聞かれ、会社帰りに上司と少し飲んだことを話して、勘弁してもらった。

ママは｢かのさん、飲めそうなのに残念ね。今度、１人でもいらっしゃいよ。一緒にのみましょ｣
そう、残念がった。

｢ママ、かのちゃんは、大きい立派な会社の秘書をしてるんだよ。秘書が酒くさくなって出勤できないだろ(笑)｣

｢あらそうなの？和田さんの自慢の奥さんね～｣

…大したことしてないんだけど、あたし。

恭ちゃんまで、酔って私の自慢をする。

ストレートに受け止める天然さがあるのに、
自分に対しての誉め言葉は冷めた感情しかわいてこない私。
ひねくれもの。