1834人が本棚に入れています
本棚に追加
少し口をつけたと思ったら…
「あ?なんだこれ。なんで生ビールじゃないんだ?こんなの飲めっかよ!」
次の瞬間―
中身の入ったビールの缶を私に投げつけてきた
避けられず、頭にあたる。床にはビールがこぼれて。
「あ~ぁ、こぼれちゃっただろ。テメー、なんでちゃんと受け止めねーんだよ。もったいねー。わざとぶつかりやがって」
何をいっても、
どうやっても、
逃れたくても、
無理なんだとわかった。
ビールに濡れた髪と服。
私は黙って、床をふいた。
恭ちゃんはフラフラと立ち上がって…
私の手を踏みつけた。
踵でぐりぐりと…
涙が、床に落ちた。
もうしないって、言ったのに…
痛さと哀しさと、
悔しさと絶望と、
恐怖と逃避心が、
私を襲う。
私は…
黙って、踏まれている手の甲をみつめてた。
折れたらどうしよう。
右手なのに。
痛いよ、痛いよ、
誰か助けて…
声にはならなかった。
最初のコメントを投稿しよう!