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今、視線の先にあるのは
青一面に白いわたあめのような
雲が浮かんでいる景色。
身体も動こうとしない。
いや、動きたくないだけだ。
俺は別にこのままずっと
こうしたままで自分の人生を
迎えても良かったんだ。
自分が誰だかも分からない。
何をすれば良いのかも分からない。
唯一分かったことは帝彰という
名前と性別だけだった。
そこらじゅうはガヤガヤしているし
色んな人からの視線も感じる。
そりゃそうだろ、だって俺は
みんなが歩いている地面に
大の字で寝ているからだ。
袴には二本の刀がささっている。
一つは長い刀、日本刀で、
一つは短い刀だった。
それを狙う人もいるんだろう
侍はよく俺を見ながら袴にある
刀をちらりとみていた。
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