黒×紫

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結局あれから眠れなかった俺は、いつもより早めにベッドを出た。 リビングに向かうと、ソファーに座っている雛の姿。 「‥雛、?」 『―‥っ、』 声を掛けると、ビクつく身体。 ゆっくりと近付き、隣に腰掛ける。 「雛、こっち向き?」 『‥嫌や』 俯いたまま、顔を上げようとしない。 「―‥っ、」 『‥え、ちょ‥ッ!』 顎に手をやり、ぐいっと持ち上げる。 「――‥、」 『や、ぁ‥っ』 雛の目は真っ赤に腫れ、充血していて 一睡もしてない事を物語っていた。 「‥なぁ、雛。何があったん?」 『―‥っ』 「黙ってちゃ、分からんで?」 宥めるように、問い掛ける。 俺は、昨日の雛の涙の理由がどうしても気になる。 どうして、泣いてたん? どうして、俺を拒否ったん? 「‥雛‥、」 『‥ヨコ、は‥』 「‥ん?」 『ヨコは、俺と居って‥重くない?苦しない?‥辛く、ない‥?』 「‥は?雛、どないし‥」 『‥すまん。今の、聞かんかった事にして。俺‥仕事やから』 立ち上がり、リビングを出て行った雛。 「っオイ、雛!」 俺の制止も届かへん。 そして、またもや、雛の頬に光った涙。 ‥雛、信五‥っ    ((お前は、何を抱えてるん?)) ‥信五、頼むから‥。         俺に、総てを打ち明けて? To Be Continued...
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