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-隊舎に戻った俺は苛々した気分を抑え切れぬまま、そのまま執務机に向かい、ひたすら書類へと筆を走らせた。
松本に命令し、嫌々出させた茶にも手をつけずに黙々と没頭していて、そんな俺のらしくない態度が気になったんだろう。
松本がキョトンと不思議な面持ちで話しかけて来る。
「どうしたんです?隊長?カリカリなんかして」
「…さっき、黒崎一護に会った」
「へぇ~一護に会ったんですか。それで何か話はしたんですか?」
「…世間話をちょっとな。それから、アイツ…」
「?」
「…俺のこと呼び捨てしやがった」
思い出すだけでも忌ま忌ましい。
何故俺が初対面の人間風情に呼び捨てで呼ばれなければならない?
全く、非情に不愉快だ。
もっと不愉快なのはそれを聞いた松本が何を思ったか、突然吹き出すようにぶふっと笑い出したことだ。
「…松本。てめぇ何が可笑しい?」
「だ、だって、隊長が一人の人間に振り回されるなんて滅多にないじゃないですか~今まで雛森以外で親しく付き合って来た人なんています?」
「………」
ふと今まで俺と関わった人間の中から少しでも該当しそうなそれらしい奴を一人一人挙げてはみたが…そんなにはいなかった。
副隊長である松本は元々付き合いが長く、雛森同様に言わば俺にとって腐れ縁のようなものだ。
かといって浮竹は絶対に違う。
あれは親しくというよりはあっちが勝手に俺に付き纏って来る。
子供じゃねぇっていつも言ってるのに、しつこい程毎回お菓子を俺に持って来て寄越す。
なら、黒崎…アイツはどうだ?
世間話はしたし、確かにどちらかと言えば話し易かった。
だが、性格に少々難がある…と思う。
まぁ、一回会っただけの俺は黒崎一護のことなんて何も知らないし、アイツのことをとやかく言える程ではないが…。
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