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「…藍染っ!テメェエ!」
俺が駆け付けた時、雛森が倒れていた。
傍らに立つ藍染と市丸。
藍染の持つ斬魄刀には雛森を貫いた痕跡がしっかりと残されていた。
雛森は下っ端の頃からずっと藍染を敬愛し、慕っていた。
いつも聞かされる話はウンザリする程藍染のものばかり。
ほんのり頬を赤らめながら嬉しそうに話す姿はまるで純情な乙女のようだった。
あんなに信じて病まなかった上司にアイツが裏切られたんだと思うと、悔しくて仕方なかった。
あの時の俺はもう既に藍染への憎しみや怒りで頭に血が昇った状態で、冷静さを欠いていた。
卍解し、捨て身の覚悟で攻撃を仕掛けたが、藍染の動きが俺に隙も与えさせない程に上手をいっていて、逆に反撃を喰らった。
刀の一振りさえ見えず、一瞬、いつ斬られたのかよく解らない。
-…キョウカスイゲツノシンノノウリョク?
アイゼンノダミー?
ゲンカク?
失血でだんだんと沈みゆく意識の中で交わされる卯ノ花と藍染の会話。
『シロちゃん。あのね、藍染隊長がね…』
『ねぇねぇシロちゃん。聞いて聞いて!』
走馬灯のように何度も浮かぶ雛森のあの純粋な笑顔。
俺の命と引き換えにしてでも護りたかった。
だが護れなかった…。
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