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「ちょっと待ってろよ。そいつの特徴思い出してみっから。…え~っと、髪は長くて黒い。んで、なんか髪に管のようなの通してて、そんで首にスカーフみてぇなのを巻いた気取った奴…」
「…もしかして朽木白哉か?」
「おうっ!それだ!それそれ!」
俺がようやく解ったのが嬉しいかのように黒崎の表情が大袈裟な程キラキラ輝いた。
俺が知っている限りでは尸魂界でそんな奇抜な格好をした隊長など朽木白哉その人しかいない。
四大貴族家の一人。
黒崎が助け出した朽木ルキアの義兄だ。
…というか、朽木って名前の時点でこいつもあの二人が兄妹だということに気付かないんだろうか?
「特徴だけで解るなんて、さっすが冬獅郎だな!」
黒崎がさも嬉しそうにバシバシと赤くなるんじゃねぇかってくらい背中を叩いて来る…
「………おい、ちょっと待て」
「ん?」
「誰が呼び捨てしろって言った?」
「へっ?だってお前”冬獅郎”だろ?」
「だからっ!さっきちゃんと”日番谷隊長”だって名乗ったじゃねぇか!」
「はぁ?何でんなことぐらいでそんなに怒んだよ。意味解んねー…だいたい、俺は現世の人間で尸魂界とは無関係だし、わざわざ”隊長”なんて呼ぶ必要ねぇだろ」
確かに黒崎の言う通りこいつは現世の人間であって、尸魂界とは無関係だ。
わざわざ知り合ったばかりの人間にまで牽制する必要は無いかもしれないが、これはあくまで俺のプライド以前の問題だ。
まだ俺が隊長に就任したての頃。
若くして霊術院を早くに卒業した俺の噂は尸魂界中で持ち切りだった。
突き刺さって来る視線。
周囲の奴らの目はどうしてこんな子供が隊長になんてなれるんだ?自分の方が見るからに実力が優れているのに…
と勘繰り深く見て来るかのようだった。
さっきの黒崎の目もそうだと感じた。
だからきっと俺は、こいつにもあいらと同等に仕向けたいんだと思う。
”隊長”というレッテルだけが俺の周囲を守る唯一の砦だ。
自分が”隊長”であるのが当たり前なんだと堂々としていたいんだ。
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