-プロローグ-

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('A`)「……どこだ、ここ」  キラキラと乱反射する光。一面の銀。真っ白な地平線。吐く息は白く、淡く広がって消える。  肌を刺す冷気は容赦ないが、眼前の景色はむしろ陽だまりに見えた。暖かい光を孕んだ雪原は、足跡ひとつ無い。視覚と感覚の温度差が激しい。  靴が数センチ沈んでいる。雪はそんなに積もっていない。その下は凍土のように思えた。  雲ひとつ無い青空。俺の視界を遮る物は何一つ無かった。 ('A`)たちは英雄だったようです -プロローグ-  こんな極寒の地に自ずから来た記憶は無い。俺は自他共に認めるインドア派で、快晴の日は特に外を出歩くことを避けていたのだ。そんな俺がいきなりこんなアウトドアの最上級な事をするはずが無い。いいや、できるわけが無い。体力が無いのは幼少期からだ。鍛えることを放棄していたとも言う。  後ろを振り返るが、同じ景色が延々と続いている。雪は降っていない。俺の足跡も無い。ただただ不自然な空間が存在していた。
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