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「やっぱり栄美ちゃんか。久しぶりだね、元気だった?」
パアッと顔を輝かせて歩み寄ってくる。
ガラポンの一等を当てたことよりも、明らかに嬉しそうに見えるその表情。
思わず一歩引いてしまったのを、気づかれていなければいいけれど。
「……はい」
大した病気もなく生きてきたという観点から言えば、元気だったのだと思う。
内面のことならば、すでにボロボロに歪んで修復不可能状態。
でも、この先生にそんなことは口が裂けても言えない。
きっと、執念深く助けてくれるに違いないから。
「きれいになったね」
サラッと言われて、ズキッと胸が引き攣れた。
簡単にきれいとか言わないでほしい。
いびつな気持ちで苦しくなる。
あの頃のあたしが頭をもたげてしまう。
無理だから諦めたのに。
どこまでも子供扱いしかされないのを悟って、必死の思いで諦めたのに。
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