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好きだったから、苦しかった。
だからもう会いたくなかった。
親に頼るなんて子供の典型みたいなことをして、あたしを子供扱いしかしない彼を排除した。
ひどい女。
「大学生だよ」
端的にそれだけ答えると、彼のおひさまみたいな表情が微かに曇った。
「そっかそっか」
それ以上、なにも訊かない。
先生はそういうひと。
変わっていない。
「でもイラストサークルには入ってるよ。絵は続けてる」
「そりゃよかった」
ニッコリ笑うとまたポカポカひだまりになる。
あたしまで頬が緩みかけたけれども、流されるのを我慢した。
サークルの話はしたくない。
「今日は画材買いに来たの?」
「まあ、そんなとこ。先生は?」
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