さよなら

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僕は、ゆっくりと目を開ける。 何時もの病室だ。 ふう・・・・・・・と息を吐くと、僕はまた、眼鏡を掛けてまずは仕事をする。 直ぐに終わらせてチップを変えるとあの、アルスの戦いを細かく打って行く。 身体が辛いので、中々打てず随分時間が掛かって漸く打ち終わり僕は大きく息を吐いた。 その時、またしてもモニターに反応があった。 僕は直ぐに切り替えて外を見るとドアの外で心配そうに様子を伺う竜ニの姿があった。 僕は苦笑して、ロックを解除する。 竜ニはすぐに入って来た。 「目が覚めたのか?裕也。」 僕は眉を寄せて言う。 「僕。また寝てたんですか?」 竜ニはプリンターに打ち出してある用紙を取って、いつものように僕の横に椅子を置いて坐る。 「ああ。3日寝てた。」 僕は大きく息を吐いた。 「そっか。」 竜ニは真剣な表情で、小説を読み終わると僕の方を見て言った。 「なあ。裕也。」 僕は無言で目線を竜ニに向ける。 竜ニは眉を寄せて、僕を見て言う。 「俺・・・・・さあ、ずっと思ってたんだよな。 お前の書く小説って本当にお前が作ったのか?」 僕は、ちょっと眉を寄せて言う。 「何故?」 竜ニは首の後ろを擦りながら言う。 「うん。何て言うか・・・・・・。 あまりにも、筋が通り過ぎてるというか、細かい描写に違和感が無さ過ぎる。」 僕は目を見開いた。 「うん。まるで、全部見てきたみたいな感じなんだよな。」 パラパラと用紙を捲りながら言う竜ニ。
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