【endaevor】

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バーン!!と開け放たれた扉の向こうは、まさしく『修羅場』でした。 「ねえ、何回間違えたら気がすむの?一度で十分だよね?ていうかコレ中学の範囲だし。出来ないってことは中学で何をしていたの?休んでいた?習ってないわけ無いよね?てか13歳で習うことを5歳上のエニシが理解出来ないハズがないよね?じゃあ早く解いてねさっさと」 開け放たれた扉の向こう側、目に写るのは、愛の結晶である息子(長男)が半泣きで問題集を解いていて、その前には無表情+抑揚無しで心をえぐる女の子がいた。 え?なに?どういう状況? 問題集を解いている息子の前には教科書が山積みになっていることから、勉強会なのだろう。 彼女に勉強を教えてもらう…いいじゃない!おいしい!萌える! 母の頭の中の勉強会は、 『◯◯ー、ここの解き方がわからないんだけど』 『もう、エニシくんったら。この公式を…』 『あ、そっか!さすが◯◯!わかりやすい』 『……だって、エニシ、くん…の為に、勉強がんばっちゃったんだもん…』 『え………(きゅん)』 みたいな?みたいな!?こんな甘い展開アリでしょ!? もういいわ!母さんちゅーくらい許すわ!しちゃいなさいよ! しかし目の前の二人は。 「……また間違えたね」 「すすすすいません…!」 「そろそろ罰ゲームつけよっか?」 母的展開は 『次間違えたらー、あたしのこと『好き』って言って』 『ば、ばかやろ…そんなの罰ゲームじゃねーよ!……ホントの事だし(ボソッ)』 『え………?(きゅん!)』 しかし現実は。 「少しずつ生爪剥いでいこっか?」 『ひいいぃぃぃぃぃ!!!』 遠野家が絶叫した(父以外)。 そういうのがダメな三人だ。鳥肌ものである。 そしてその絶叫三重奏でようやく家主の帰宅に気づいたオン。 速やかに立ち上がり一礼した。 「はじめましてお邪魔しています。 エニシくんと同じバンドのメンバーになりまして、プロデューサー命令でエニシくんの成績をあげにきました。どんな手を使っても上げます」 成績を……あげにきた!? 母はフラフラとオンに近寄ると、ガシッと両手でオンの手を包んだ。 「お名前は……?」 「オンと言います」 「オンちゃん…! なおるんですか…?うちの子の、成績は……あがるんですか…!?」 囁くように、しかし信じられないと言った顔で。
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