【endaevor】

5/17
134人が本棚に入れています
本棚に追加
/201ページ
私に理解出来ない、得体の知れない感情なんて、今はどうだっていい。今後もどうだっていい。 まずは勉強だ。 間違いなく底辺であろうエニシの学力を上げるために。 まずは腕試しとしようか。 「はい。今適当に作ったテストね、コレ。 さっさと解いて?」 ぺラッと渡した、まずは数学。 神妙に頷いたエニシは紙を受けとるとスグに始めて。ヨシくんは邪魔になるといけないからと席を外した。 なんていいこ…! ふむ。なかなか真面目でいいね。 私はその間に適当に自分の教科書から問題を抜粋して国(古典+現文)・社(世界史+日本史+地理)・理(化学+物理+地学)・英語(ライティング+リーディング)のテストを作った。 ……結構時間経ったなぁ。もう出来てるだろう。 そう思ってエニシのプリントをのぞきこむと。 「……いったい何が起きたのエニシ」 キレイに真っ白だった。 ちょっと、どういうことだ。訳を聞こうじゃないか。 「今なら言い訳聞いてやる」 とうとう言葉遣いが乱雑になったオン。 「(コワイコワイコワイ…) え、いや、あの…」 「煮えきらねぇな。さっさと逝って」 「(あれ、何か寒気が…?) いやだって!習ってないもん!」 「習ってない…?」 これ、高二~高三のはんいだぞ? 疑問を覚えたオンは即座にエニシに教科書をとりにいかせた。 開いてみると。 「……私は高校の教科書を持ってこいと言った」 温度が一気に下がる室内。焦るのはエニシだ。 「いや!だから高校のだって!ほら、表紙見て!」 確かに高校って書いてある。書いてあるけど中身はこれ、中学校のおさらい?みたいな。 つまりはレベルが滅茶苦茶低いのだ。 「……エニシ。一つ聞きたい」 「はい!なんでしょう!」 思わず敬語になるエニシ。オンは真顔でエニシに聞いた。 「もう一回、中学校行ってるわけじゃないんだよね?」 エニシが何とも形容しがたい顔をした。
/201ページ

最初のコメントを投稿しよう!