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私に理解出来ない、得体の知れない感情なんて、今はどうだっていい。今後もどうだっていい。
まずは勉強だ。
間違いなく底辺であろうエニシの学力を上げるために。
まずは腕試しとしようか。
「はい。今適当に作ったテストね、コレ。
さっさと解いて?」
ぺラッと渡した、まずは数学。
神妙に頷いたエニシは紙を受けとるとスグに始めて。ヨシくんは邪魔になるといけないからと席を外した。
なんていいこ…!
ふむ。なかなか真面目でいいね。
私はその間に適当に自分の教科書から問題を抜粋して国(古典+現文)・社(世界史+日本史+地理)・理(化学+物理+地学)・英語(ライティング+リーディング)のテストを作った。
……結構時間経ったなぁ。もう出来てるだろう。
そう思ってエニシのプリントをのぞきこむと。
「……いったい何が起きたのエニシ」
キレイに真っ白だった。
ちょっと、どういうことだ。訳を聞こうじゃないか。
「今なら言い訳聞いてやる」
とうとう言葉遣いが乱雑になったオン。
「(コワイコワイコワイ…) え、いや、あの…」
「煮えきらねぇな。さっさと逝って」
「(あれ、何か寒気が…?) いやだって!習ってないもん!」
「習ってない…?」
これ、高二~高三のはんいだぞ?
疑問を覚えたオンは即座にエニシに教科書をとりにいかせた。
開いてみると。
「……私は高校の教科書を持ってこいと言った」
温度が一気に下がる室内。焦るのはエニシだ。
「いや!だから高校のだって!ほら、表紙見て!」
確かに高校って書いてある。書いてあるけど中身はこれ、中学校のおさらい?みたいな。
つまりはレベルが滅茶苦茶低いのだ。
「……エニシ。一つ聞きたい」
「はい!なんでしょう!」
思わず敬語になるエニシ。オンは真顔でエニシに聞いた。
「もう一回、中学校行ってるわけじゃないんだよね?」
エニシが何とも形容しがたい顔をした。
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