134人が本棚に入れています
本棚に追加
/201ページ
そうか。これなら解けないのも仕方がない。
そんな気持ちから言った。
「……もういいか」
もういいか。このテストは。エニシの教科書に添った内容にしなくては。
そう思ったから言ったのだが。
「まま、待ってオン!頑張るから見捨てないで! 脱退とか絶対イヤなんだよーっ!」
顔色真っ青にしたエニシが慌てて叫ぶ。
いやいや。このテストができたからって、エニシの学校のテストの成績が上がるわけじゃないだろうに。
「違うよ。 エニシの教科書に合わせるんだよ」
腕試しは振り出しに戻った。
リビングで勉強開始である。
ヨシくんは先程退出したし。好都合。
手加減一切無しでビシバシしごいてやる。
私は静かに気合いを入れて、エニシの教科書をパラパラと流し読みした。
「あのー、オン?」
「なに」
「………読めてるの?」
因みに私の読むスピードはパラパラパラパラ、だ。
音が途切れないのだ。
「疑問に思うのもわかるけど。
この状況で読めない読み方するほどバカではないよ」
こっちだって必死なんだよ。
思いの外大変だと言うことがわかってさあ!
全ての教科書を読み終えた私は、目を閉じて脳にインプットする。
…………よし。やるか。
最初のコメントを投稿しよう!