134人が本棚に入れています
本棚に追加
/201ページ
勉強会は夜に突入し、夜も更け、深夜まで続いた。
オンは朝方に帰り、それから学校へ行く。エニシも同じくだ。
そんな生活をテスト期間中も行った二人。
その勉強会の状況たるや、涙無くしては語れぬくらいだった。主にエニシサイドの。
そんな寝不足な二週間は、あっという間に過ぎ去って。
とうとう今日は事務所に呼ばれる日になった。
スタジオの隣にある事務所。そこに出向かなくてはならない。
もちろん、手ぶらではなく、得点通知表を持って…
因みにオンのテストも終わって得点通知表も返ってきた。
高校生二人は手に爆弾を携えてボスの元へと向かったのだった。
***
「さて。 エニシもオンも自分の見たのか?」
受け取った得点通知表を開かず、二人に言う青原。
「怖くて見れませんでした…!」
「見ましたよ。普通通りでした」
「………………。」
神か仏のように青原に祈るエニシ。反対につまらなそうなオン。
そんな高校生ズをチラッと見てから、青原は得点通知表を開いた。
「オンは………三位か」
学年で、だ。
ちっ、つまんねぇの。とか思いながら、一番面白そうなエニシの通知表。
「………十位!?」
前回の成績は下から数えた方が早いくらい。
今回は上から十人目だ。
これは褒め称えてあげてもいいだろう。
「やればできんじゃねぇか!エニシ!」
わしゃわしゃエニシの頭を撫でるも、当のエニシは放心していた。
「じじ、十位…?オレが?なんで? もしかして通知表間違えた!?」
「同じクラスに『遠野縁』なんて希有な名前が、二人もいるの?」
オンの冷たいツッコミ。
「『近原緑』なら居るけど……居ない……。やったー!オレだーっ!」
ようやく喜びを実感するエニシ。
青原は笑顔。オンは白けた顔でそれを見守っていた。
つーか『近原緑』は居るのか…
オンはそれだけが引っ掛かった。
「よし。よくやった二人とも!!
とりあえず第一段階クリアだ!」
これにて勉強会は無事に幕を下ろした。
最初のコメントを投稿しよう!