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 首を摘まれゴミ箱に捨てられもしたが猫は諦めない。「人間には屈しない」それが猫の信念だった。  いつしか公園通りの端のほうまで来ていた。日が暮れかけ店は疎らだが骨董品が置いてある露天と、布を引いただけの油絵を売っている店があった。  猫が油絵の店の前に行くと、一枚の絵が目に入った。  艶のある毛は尻尾の先まで綺麗に伸びていて、青い瞳が印象的な白猫の油絵だった。猫の母親もまた白猫だった。  いつの間にか猫はその絵の中にいる白猫に魅了されていた。自分に無い色を持つ猫に惹かれてたのかもしれない。はたまた記憶の片隅にある自分の母親と重ね合わせていたのかもしれない。  近くにいる人間が何か喋っている。そんな事はどうでもよかったが、そうも行かない自体が起きた。  人間が猫に手を出して来たのだ。  それに気付いた猫は人間を睨み後ずさりした。「どうせ又俺を掴み挙げてゴミ箱にでも捨てるつもりだろう!」と言わんばかりに人間を睨みつける。
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